アレルギー表示推奨品目にアーモンドを追加
食物アレルギーがあると加工食品を買うときや、外食などでアレルギー表示を確認しますよね。
その際見やすいのは特定原材料27品目などのアレルゲン表記です。
今回は特定原材料に準ずるもの(推奨表示)にアーモンドが追加になったのでその経緯やアレルギー症状などをまとめます。
ぜひ参考にしてみてください。
- 2019/09/20 消費者庁アレルギー表示推奨品目にアーモンドを追加
- アーモンドアレルギーの症状
- ナッツ全ての除去は必要なし
- 花粉症との関係
- 義務表示と推奨表示
- アーモンドパウダーなど加工品・海外輸入品に注意
- くるみの義務表示対象品目へ指定の予定
2019/09/20 消費者庁アレルギー表示推奨品目にアーモンドを追加
消費者庁が2017年のアレルギーの症例4851例を調査したところ、アーモンドによるものが21例ありました。
アーモンドは前回調査でも、特定原材料等でカバーされない食物の中で一番多く、2期連続して特定原材料等でない中で最も多くありました。
アーモンドは、これまでに中途より特定原材料等に格上げとなったバナナ、カシューナッツ、ゴマと比べても、症例数は十分に多いといえます。
2013年のゴマとカシューナッツ以来、6年ぶりの推奨品目へ追加でした。
アーモンドアレルギーの症状
アーモンドを含む食物アレルギーの症状は様々です。
皮膚症状
- かゆみ
- 蕁麻疹
- むくみ
- 赤くなる
- 湿疹
消化器症状
- 下痢
- 気持ちが悪い
- 吐き気
- 嘔吐
- 血便
循環器症状
- 脈が早い
- 触れにくい
- 乱れる
- 手足が冷たい
- 唇や爪が青い(チアノーゼ)
- 血圧低下
神経症状
- 元気がない
- ぐったり
- 意識朦朧
- 尿や便を漏らす
全身症状
ナッツ全ての除去は必要なし
種実(ナッツ)類(クルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツなど)は、ひとくくりにして除去をする必要はありません。
植物学的に科が違う場合、交差抗原性がないからです。
ウルシ科
- カシューナッツ
- ピスタチオ
クルミ科
- クルミ
- ペカンナッツ
バラ科
- アーモンド
カバノキ科
- ハシバミ(ヘーゼルナッツ)
サガリバナ科
- ブラジルナッツ
ヤオギリ科
- カカオ
ヤシ科
- ココナッツ
マメ科
- ピーナッツ
科が同じカシューナッツとピスタチオ、クルミとペカンナッツの間には強い交差抗原性があるのでどちらかにアレルギーがあれば、両者を除去する必要があります。
それ以外の種実(ナッツ)類のアレルギーは、個別に症状の有無を確認する必要があります。
花粉症との関係
ナッツは果物、野菜と共にカバノキ科(ハンノキ、シラカンバ等)花粉症に合併する口腔アレルギー症候群(OAS)の原因食物としても知られています。
これは花粉、果物、野菜とナッツ類に存在する共通抗原が原因と考えられています。
義務表示と推奨表示
原材料の表示には種類があります。
特定原材料(義務表示)【7品目】
食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高いものとして表示が義務化されたものを言いいます。
対象品目
- えび
- かに
- 小麦
- そば
- 卵
- 乳
- 落花生
特定原材料に準ずるもの(推奨表示)【21品目】
食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると少ないものとして可能な限り表示することが推奨されたものを言います。
今回ここにアーモンドが追加され21品目になります。
対象品目
アーモンドパウダーなど加工品・海外輸入品に注意
アーモンドやココナッツなどは洋菓子類の粉体材料(パウダー)として使用されることが多くあります。
製品の外見だけではわかりにくいため、必ず原材料の確認を行うことが必要です。
ですが、海外の多くの国のアレルゲン表示制度では、くるみやカシューナッツ、アーモンド等を「Tree Nuts(木の実)」として表示するため、原材料規格書も多くの場合でTree Nutsとして管理されています。
今回の改正は海外からの輸入原材料を使用する場合、また海外から食品を輸入する場合に注意が必要なので、消費者庁資料「アレルギー物質を含む食品の表示について」を早い段階で確認されるとよいでしょう。
くるみの義務表示対象品目へ指定の予定
「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」は、概ね3年ごとに実施されている定期的な調査ですが、前々回調査(平成24年度(2012年度))、前回調査(平成27年度(2015年度))と比較し、アーモンドとくるみの症例数が増加しています。
ですが、くるみの義務表示品目への指定については「今回の症例数が一過性のものでないかの確認が必要」「義務表示対象品目に指定する場合、実行担保の観点から、試験方法の開発と妥当性評価が必要」と検討課題が整理されているため、2~3年後の施行を目途に準備が進められています。