小麦アレルギーはスキンケアで発症の危険あり
これまで「食物アレルギー」は食べることでアレルギー症状を引き起こすもの(アレルゲン)が体内に入り、発症すると考えられていました。
しかし、最近では口からだけでなく、肌を通じて体内に侵入することも発症要因のひとつとして注目されはじめています。
今回は肌から気をつける食物アレルギーについてお伝えします。
食物アレルギーがある人はもちろん、ない人も日頃から注意が必要なので是非お役立てください。
食物アレルギーの原因はタンパク質
食物アレルギーは一般的に食物に含まれるたんぱく質が原因です。
食物を摂取し腸管から成分が吸収される際に、体が特定のたんぱく質を異物だと認識すると、血中のIgE抗体(免疫グロブリンE)と呼ばれるたんぱく質が反応してアレルギー症状が出ます。
症状は人によって様々
皮膚症状
- かゆみ
- 蕁麻疹
- むくみ
- 赤くなる
- 湿疹
消化器症状
- 下痢
- 気持ちが悪い
- 吐き気
- 嘔吐
- 血便
循環器症状
- 脈が早い
- 触れにくい
- 乱れる
- 手足が冷たい
- 唇や爪が青い(チアノーゼ)
- 血圧低下
神経症状
- 元気がない
- ぐったり
- 意識朦朧
- 尿や便を漏らす
全身症状
口から以外の摂取でも症状が出る可能性あり
食べ物を食べることで皮膚にかゆみや、湿疹などの症状がでますが、食品を口にする以外の摂取でも肌にアレルギー症状が出る場合があります。
スキンケアに注意が必要
化粧品等の添加物に小麦でんぷんが含まれている可能性あります。
洗顔や化粧水、乳液などに含まれ、以前に石鹸を使っているうちに小麦を食べるとショックになるという重篤なアレルギーを発症した例が国内ではじめて報告されました。
以来、症例は増え続け、大きな社会問題となりました。
その時の原因物質は加水分解コムギ(グルパール 19S)です。 アレルギー症状は使用する前に、小麦アレルギーの明らかな既往がなくても発症する事例もあります。
加水分解コムギとは
小麦の主にグルテンであるタンパク質を、酵素や酸やアルカリを使って加水分解し、タンパク質を細かに切断したものを加水分解コムギといいます。
2017年に医薬部外品として使用できる基準が策定され化粧品に使用するには安全の確保のため分子量3,500ダルトン未満にする必要があります。
アトピー性皮膚炎だと食物に感作されやすい
アトピー性皮膚炎がある子には食物アレルギーも多い傾向にあり生後3カ月の時点でアトピー性皮膚炎がある子は、健康な子どもに比べて、食物に感作されやすいです。
皮膚の状態と食物アレルギーは一見別のことに思えますが、肌あれや湿疹がひどくなると、皮膚のバリアが壊れてそこから食べ物の抗原が侵入しアレルギーを引き起こす原因物質を取り込みやすくなる可能性があることもわかってきました。
生後3カ月頃までに顔面から始まるようなアトピー性皮膚炎の症状がみられる赤ちゃんでは、食物アレルギーを合併していることがあります。
合併している時の症状
アトピー性皮膚炎と診断され下記の症状がある場合、鶏卵などに対するIgE抗体が作られている(食物アレルギーを合併している)可能性が考えられます。
部位
主に、かゆみのある湿疹が出ます。
- 顔
- 頭首
- 口と周囲
- 耳の周囲
- 手足の関節の内側
赤ちゃんの場合はおむつかぶれやあせもなどもできやすく、見分けがつきにくいことがあります。
口または皮膚から摂取後2日は注意が必要
食物アレルギーには即時型アレルギーと遅延型アレルギーがあります。
即時型アレルギーの場合には摂取や塗布直後~4時間程度、遅延型アレルギーの場合には翌日~2日程度で症状がでます。
湿疹発症後
かかりつけ医ステロイド外用薬を塗ったり、皮膚を清潔に保ったり保湿に注意したりしても症状が2カ月くらい治らない、あるいはひどくなるような場合 、日頃のスキンケアや食事を見直す必要があります。
加水分解コムギが含まれる化粧品等の場合、食物アレルギーの既往がなくても発症の可能性があります。
子どもの場合アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが密接に関係していることも多いので、使用時には肌の状態や身体の変化に気をつけると良いでしょう。
子どもから大人まで食物アレルギーによる肌あれのリスクがあります。
スキンケア用品等の使用前にも成分表示を確認してみると安心です。