本当に身体にいい食べ物
たくさんの情報が行き交う中で、正しい知識を身につけることは難しくなっています。
テレビ番組では健康について特集が組まれ、その影響でスーパーなどから特定の食材が品薄になることもあります。
ですが、インターネットで調べてみると効果がない、むしろ避けるべきだ、などと書かれていることも多くあります。 迷う情報社会の中でも、ご自身やご家族のために健康な食事を作りたいですよね。
今回は、本当に身体に良い食べ物についてお伝えします。
健康のために積極的に取り入れたい食材
健康に良いと紹介する栄養士や医者の中にも本当に科学的根拠に基づく正しいものであるかどうかを判断するために必要な専門知識(統計学や疫学と呼ばれる学問)を持っていない人もいます。
健康に良いという研究結果が1つ2つあるかもしれませんが本当に体に良いのかどうかまだ確定的なことは言えない段階の食品と多くあります。
それらは除き、数多くの信頼できる複数の研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在明らかになっている食品は下記の通りです。
- 魚
- 野菜と果物(フルーツジュース、ジャガイモは含まない)
- 茶色い炭水化物(玄米や全粒粉など)
- オリーブオイル
- ナッツ類
健康の為に避けたい食材
健康に対して悪影響があることが複数の研究で示されているものは、下記の通りです。
- 赤い肉(牛肉や豚肉(鶏肉は含まない)
- 加工肉(ハムやソーセージなど)
- 白い炭水化物
- バターなどの飽和脂肪酸
つまり、白米や小麦粉を使った白いパン、うどんといった精製された炭水化物、牛肉や豚肉、バターは避け、玄米や全粒粉を使ったパン、オリーブオイル、ナッツなどに置き換えると健康的な組み合わせになります。
一汁三菜が理想的
日本人が昔から取り入れてきた、汁物を1品、料理を3品(主菜1品、副菜2品)という「一汁三菜」スタイルなら欧米寄りの食事よりもずっと栄養バランスの良い食事ができ、不調が改善できると言われている食事法です。
ですが、汁物1品とおかず3品をただ作ればいいのかというと、そうではありません。
栄養面から見ると、主食には主食の、主菜には主菜の役割があります。 各料理の役割を知っておくことで、献立を組みやすくなります。
各料理の役割
主食(ご飯)
主食の白米に多く含まれる栄養素は炭水化物です。体を動かすエネルギー源になります。
ダイエット中はお米を敬遠しがちですが、適量さえ守れば急激に太るようなことはないでしょう。
汁物
汁物は、味噌汁・澄まし汁・スープなどのことで、体に必要な水分を補います。
主菜(一菜)
主菜には、主に魚・肉・豆腐・卵などタンパク質を多く含んだ食材を使います。 焼き魚や鶏肉のソテーなどが例として挙げられます。ボリュームのあるおかずで満足感も得られます。
副菜(二菜)
主食と主菜に不足するビタミン・ミネラル・食物繊維などを摂取できる食材を使います。 野菜・いも類・豆・きのこなどを使った煮物や和え物がおすすめです。
「偏りや○○だけ」は不健康の素
偏食をすると腸内環境が悪化します。
免疫の70~80%は腸内に存在するので、当然腸内環境が悪いと免疫力が落ちて風邪をひきやすくなったり、アトピーや花粉症等のアレルギーも出やすく、もっと言えばガンにもかかり易くなってしまいます。
糖質や脂質が多い食事は肥満の原因となり、塩分の摂りすぎは高血圧など生活習慣病の危険が高まります。
ダイエットや好き嫌いなどにより栄養の偏りが心配されるときは、嫌いな食品と似た栄養素をもつ食品を代用食品として与え、栄養を補うこともひとつの方法です。
ダイエットブームは健康の大敵
女性はいくつになってもキレイでいたいものです。「○○抜きダイエット」や「○○だけダイエット」など流行のたびに気になりますよね。 ですが、科学的根拠のない健康情報がマーケティングの一環として利用されてしまっているという側面があることも忘れてはいけません。
○○抜きダイエット
炭水化物抜きダイエット、脂肪分抜きダイエットなどがありますが、これはかならず失敗します。
炭水化物や脂肪を抜くと、身体のエネルギーがなくなってしまうため、身体は生命維持緊急状態となり、なるべくエネルギーを消費しないようにし始めます。
つまり基礎代謝が落ち、エネルギーを消耗しにくくする身体になってしまうのです。
○○だけダイエット
バナナダイエットやりんごダイエットなどがありますが人間が生命維持に必要な栄養素が特定の食べ物にすべて入っているわけがありません。
必然的になんらかの栄養素が確実に不足するのです。
したがって、半断食ダイエットをしていることになり、そして○○に飽きてしまったときに他の食物を食べると、ドカーンと体重が増えてしまうのです。
生命維持に必要な栄養素
エネルギー源になる栄養素として、炭水化物・脂質・タンパク質があり、これらを3大栄養素といいます。
また3大栄養素に微量元素であるビタミン・ミネラルを加えたものを5大栄養素といい、これらも生体にとって必要な栄養素です。
主に3大栄養素は、体内でエネルギー源やからだの組織をつくる働きをし、ビタミン・ミネラルは体の調子を整える働きをします。
エネルギー源(3大栄養素)
炭水化物(糖質) 1g=4kcal
炭水化物は、糖質と食物繊維に大別されます。糖質はエネルギー源としてはたらき、食物繊維はエネルギー源にはなりませんが、健康のためには必要な成分です。
脂質 1g=9kcal
脂質は摂り過ぎると肥満につながりますが、少量でも多くのエネルギーを得ることができる効率の良いエネルギー源です。 脂質には中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどを含んでいます。
たんぱく質 1g=4kcal
たんぱく質は、筋肉・臓器などの体組織や、酵素・血液などを形成しています。タンパク質は約20種類のアミノ酸から構成されています。
微量元素(5大栄養素)
ビタミン
ビタミンはエネルギー源にはなりませんが、成長や健康維持には欠くことのできない栄養素です。脂溶性と水溶性があります。
ミネラル
ミネラル(無機質)はエネルギー源にはなりませんが、骨や歯を形成し、たんぱく質などとともに人体を構成しています。無機質は不足すると、骨粗鬆症や鉄欠乏性貧血などの欠乏症になります
「身体に良くない=食べるべきではない」ではない。
甘いものが好きな人にとっては甘いものを食べることで幸せな気持ちになり、幸福度が上がるかもしれません。
そういう人にとっては、甘いものをゼロにすることで健康にはなるけれども人生がまったく楽しくなくなってしまうこともあります。
そのような場合には、幸福度と健康をてんびんにかけて、毎日少量の甘いものを食べるという食事を選択することも合理的な判断になります。
食事によって得られるメリットとデメリットを十分理解したうえで、何を食べるかを選択することが大切です。